アメリカが危ない2

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先週アメリカが危ないという話を書きました。しかし、国債が売れない、FRBがドル紙幣を刷って国債を買っていると言ったって、何が危ないのか、そして日本にはどんな影響があるのかわからないと思ったので、今日は、今のアメリカがどのような世界なのか、少し具体的なデータで見て行こうと思います。



●20%を超えている実質失業率

アメリカの失業率は2009年に9%台だったのが、2010年に入ると、ワシントンD.C.をはじめ、カリフォルニア、サウスカロライナ、フロリダ、ジョージアノースカロライナなど15の州で完全失業率が10%を超えたとされています。

しかし失業状態の実態を表すのは完全失業率ではなく、短期の非正規雇用で食いつないでる人や、失業して求職活動を行ってきたにもかかわらず1年以上仕事が見つからなかったなどの状態で、失業者のカウントからはずされてしまった人たちもカウントするU6というアメリカの失業者の指標でみると、全米平均で20%台で、自動車産業で栄えていたミシガン州の地域では30%を超える状況になっているそうです。

30%といったら、3人に1人が失業しているのですからすごい数字です。



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アメリカのU指標について

アメリカでは、失業者の深刻度や労働力の有効活用の観点からの指標(U指標)を1〜6まで公表しており、失業の深刻度から潜在労働力の状況まで幅広くみることができる。定義については、おおむね以下のとおりとなっている。

U1:失業期間が15週間以上 / 労働力人口

U2:(非自発的離職者+臨時雇用の期間満了者) / 労働力人口

U3:完全失業者 / 労働力人口

U4:(完全失業者+求職意欲喪失者) 
              / (労働力人口+求職意欲喪失者)

U5:(完全失業者+縁辺労働者) / (労働力人口+縁辺労働者)

U6:(完全失業者+縁辺労働者+経済情勢のためにパートタイムで就業している者) / (労働力人口+縁辺労働者)

※縁辺労働者(就業希望であり、仕事があればすぐに就くことができ、過去1年間に求職活動を行ったことがあるが、適当な仕事がありそうにない、又は家事育児のため仕事があっても続けられそうになく求職活動を行うことをやめた者)


(厚生労働白書より)
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堤未香の「ルポ貧困大国アメリカⅡ」(岩波新書)を読むと、アメリカの大変な状況が溢れています。

そこから、少しホームレスの状況を拾ってみましょう。


●ホームレスが違法

2007年から2008年にかけて、アメリカ国内のホームレス人口は12%上昇、サブプライムローン破綻による住宅価格の下落と金融危機による不況で、家も仕事もなくした人々が一気に路上にあふれだした。
(The US Conference of Mayors for its Annual Hunger and Homeless Study Report 2008)

 このホームレス人口の増加が、刑務所人口の拡大につながった。

 2009年7月に国立ホームレス貧困法務局が発表した調査結果では、不況下で急激に増え続けるホームレス対策として各自治体が厳罰化を適用、ホームレスを犯罪者として取り締まり始めたことが明らかにされている。
 
 NLCHP(全国ホームレス・貧困問題法律センター)の報告書によると、警察はホームレスを徹底的に監視し、交差点以外の道路横断(Jaywalking)から始まり、公共の場をうろうろすること(Loitering)や、屋外で開封した酒類を所持すること(Open Container Law)など、ありとあらゆる小さな行動を理由に逮捕しているという。

(中略)

 フロリダ州オーランドで市議会が通過させたのは、公園内で25人以上が食べ物を共有することを違法とする「炊き出し禁止令」だ。
 慈善精神が根付いているアメリカでは、教会やNPOの積極的なホームレス支援活動によって、餓死者は最後の一線で食い止められてきた。
 警察に追い立てられるまで炊き出しを続ける教会やNPOもあったが、多くの街では明らかに炊き出しの数が減っていった。
 同様の法律は、2007年にもテキサス州ダラスや、ネバダ州ラスベガスなどでも通過している。
 ジョージア州アトランタでは警察が観光客を装い、小銭を求めるホームレスを次々に逮捕する政策をとり始めた。
 15%という高い失業率、かつ「ホームレスに非常な10の街ランキング」にも入るミシガン州カラマズでは、公共の風景からホームレスを消去するという目標の下に、公園で寝泊りしたホームレスは違反切符を切られるだけでなく、その後、賃貸アパートを借りることもできなくなった。
(引用ここまで)


いやー、こわいですね。何かの間違いでホームレスになったが最後すぐに刑務所に入れられてしまいそうです。
今、日本にも数多くいるというネットカフェ難民。彼らにしても、今日仕事にありつけなかったから、今日はネットカフェに留まれない、となったらすぐに逮捕されてしまいそうです。

でも「いや、俺には関係ない。俺ははきちんとした正社員として働いているし、ホームレスになるやつは自分の努力が足りないんだ。ホームレスは地域社会の恥だ。」などと思っている人も多いことでしょう。

「ルポ貧困大国アメリカⅡ」に出てくるチャック・ニーウェルもそんな一人でしたが、2007年にコンピュータ技師として勤めていた会社から解雇され、住宅価格の下落もあいまってホームレスになってしまったそうです。


(ここから再度引用)
 「ホームレスになったら世界がひっくり返りました。本当に180度変わる。何が変わるって、ノーバディ(誰でもない人)になるんです。
 それまでは毎朝普通に会社に行って、九時から五時まで働いて、給料日に小切手をもらって家のローンをはじめとする支払いをする。
余暇は釣り仲間と近くの湖に行っていました。
 そんな当たり前の生活をしていたのに、ホームレスになったとたん、それまで親切だった社会に冷酷な扱いを受け始めたのです」
 「たとえば、どんな対応をされましたか?」
 「まずどこへ行っても、すぐ身分証明書(ID)を見せろと要求されるようになりました。今は警察がそこらじゅうにいますから。
 公園のベンチに座っているだけでID、ドーナツ屋の前に立つだけでID、道に立っている警官と目があうとID・・・・こんな具合で一日に二十回はIDを要求され、職務質問されるのです。本当にうんざりするし、プライドも傷つきます。何も悪い事をしていないのに」

(中略)

「・・・今までまじめに国や州に税金を払ってきた私が、ホームレスになった途端、まるで社会にとって価値のない存在になったと言わんばかりです。」

 警察に目をつけられないように、目立たない場所から場所へと移動するチャックに話しかける人はいなかった。

 「そのとき初めて実感しました。ホームレスは風景の中に溶けてしまうのだと。街灯や、ゴミの山と同じようにね。・・・」
(引用ここまで)


ここまで読んで、あなたは何を感じましたか?

実質的な失業率を表すU6で30%を超える地域では、このチャックのように、今まで中流として普通に暮らしていた人がこのようにホームレスになってしまう人たちが溢れているのです。


●12%以上の国民が食糧の配給を受けている

アメリカには最低のセーフティネットとして生活困窮者の食糧支援を目的とした食料購入補助制度(フードスタンプ)という制度があるのですが、金融危機の影響でここ数年この受給者が、2008年に2800万人、2009年9月に3700万人、2010年に入って4080万人と急増しているのです。
フードスタンプ受給者は、毎月の受給日を迎えるとICチップの埋め込まれたカード式のフードスタンプを持ってスーパーなどに行き、牛乳やパンなどの食料を手に入れるという。

フードスタンプを受ける人たちの9割近くが、4人家族で年収2万2千ドルとされる貧困ラインを下回る生活で、1ヶ月100ドルから200ドルのフードスタンプで食いつないでいるのです。


これが世界一裕福といわれている国の現状です。

アメリカの金融資本家達の暴走によって金融危機が起き、世界中を不況にたたきこみました。今まで、世界からお金を集めて、自分達の稼ぎ以上に消費してきたアメリカは、ドルの威信が揺らいでいることにより、お金を集めることが出来なくなりつつあります。

一番アメリカ国債を購入してきた中国は、今、たまっているドルを使って世界の資源を買い集めています。すなわち、ドルの価値が暴落するまえに、現物に置き換えているのです。

また、人民元はドルの価値にリンクさせているので、ドルで持っている資産を元に換算しても価値は減っていきません。

一方円は、ドルに対してどんどん円高になっていくので、アメリカに貸しているお金の価値がどんどん目減りして行っています。

でも、日本はもともと日本のお金にもかかわらず、中国のようにアメリカの国債を売っぱらって自分の好きなように使うことは出来ません。
アメリカが許してくれないのです。

米軍基地を沖縄から外国に移転させることも出来ません。外国に移転させたらアメリカは、日本が毎年アメリカに払っている莫大な額の思いやり予算が入らなくなり困るので、なんとしても日本おいておきたい。だから、つねに中国や北朝鮮、韓国と日本の間に緊張関係を作り出しています。

郵政民営化アメリカから小泉首相に強い要望が出され進められました。

なぜか? 

郵政民営化されれば、郵便局にたまっている日本の国民の莫大なお金がアメリカの自由になるようになる、すなわち日本に圧力をかけ、郵貯のお金でアメリカの国債をどんどん買わせることが出来るようになるからです。
今、国債が消化しきれなくて困っているアメリカとしては、属国日本がうちでの小槌になるのです。


日本はある意味、相変わらずアメリカの植民地なのです。

なかなか信じがたいことかもしれませんが、この事実は、日本人以外の世界で知られている事なのです。

日本人は英語で情報を取っていないので世界の動きや世界の情報に疎いところがあります。

今回たまたま、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステル大学教授)氏が新著『アメリカとともに沈みゆく自由世界』(井上実訳、徳間書店)の出版記念講演を日本記者クラブの招きで11月17日に行ったものを要約したブログを見つけたのでご覧ください。

それを読めば、少しはアメリカと日本、そして中国との関係なども分かるでしょう。


ウォルフレン教授の日本人へのメッセージ: 米国の変質と日米関係について(最新講演より)
nico's blog

http://bit.ly/dBR84H




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