■お金がなくなることで起こっていたデフレを円安誘導で悪性インフレを招いてしまった

久しぶりのブログアップです。

今日は、ちょっと日本経済の先行きに対する不安を書いてみました。


まず、こちらのグラフをご覧下さい。

日本の人口の推移(出典:総務省「人口推計」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf

日本の人口が2060年には9000万人を割り込むというショッキングな文字が踊っていますが、2060年と言ったってまだ先だし、9000万人といわれてもあまりピンと来ません。

そこで、ここでは誰でもその意味がピンとくる上の折れ線グラフに注目して下さい。

これは、日本の生産年齢人口(15歳?64歳)の割合を示しています。
すなわち、働いてお金を稼ぐ日本人の割合を示しています。

このグラフで現在2014年は真ん中あたりに縦に書かれている破線のあたりです。

それがわかった上で先ほどの折れ線グラフをもう一度見てみると、日本の生産年齢人口は1990年頃にピークを迎えて、その後は右肩下がりに急激に下がっていることがわかります。

ということは、もう25年近くもお金を稼ぐ人の割合が減り続けていることになります。

これはどういうことなのか一般家庭に例えてみると、わかりやすいと思います。


たとえば、子供ふたりの4人家族。
夫婦で働いてお父さん80、お母さんが20稼いでいました。

この家族で、子供が就職してそれぞれが30ずつ稼ぐようになると、家庭全体の収入は100から160に増えます。

そうすると、当然家計に余裕が出るので余計に消費するようになります。

ところがお父さんが定年になり働くなくなると、子供たちの収入が40ずつに増えていたとしても、家計全体では100に下がるので、節約しなければならなくなり消費は少なくなります。


つまり、1990年以降の日本は、この収入が減って節約しなければならない状態が続いていて、しかも年々働く人が減っている状態なのです。

当然全体として消費を減らさざるを得ないので、働く人が増えない限りデフレ傾向は抑えられません。

このデフレ傾向を解消するためには、働く人を増やし、収入を増やし、消費を増やさない限り難しいというのは簡単にわかる話です。

ところが、現在の政策は働く人を増やし全体の収入を増やしてそれを消費につなげるということとは全く関係ありません。

日銀が円をどんどん刷って量を増やすと当然円の価値は下がります。
するとドルに対して円安になります。

2011年9月頃には$1=¥77程度だったのが昨日時点で102.56円になっているので、たったの二年半でドルに対して33%も価値が下落してしまったのです。

その影響でエネルギーや食料の輸入価格が上昇し、それがインフレにつながっております。


LNGの輸入価格(出典:みずほ情報総研
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2014/images/kagakukogaku1401_02.gif


本日(2月22日)の東京新聞の記事から引用させていただきます。

アベノミクス「景気回復の正体」
デフレを脱却 実は→家計圧迫悪性インフレ

みずほ証券の上野泰也チーフエコノミストは「円安に伴う輸入品の値上がりで、物価高になっているだけだ」と指摘する。

・・・日銀が発表した今年1月分の企業物価指数を見ても、輸入品の物価指数は12.7%増。「木材」「石油・石炭・天然ガス」「金属」は15%前後の増で、製造業に負担がかかる。
・・・輸入原料が多いパン、即席めん、ガソリンなどは年間十五回以上買う「頻繁に購入する品目」として分類され、これらの昨年十二月の指数は前年同月比3.7%増と、総合指数の1.6%増を大きく上回っている。

生活に不可欠ということではパソコンもそうだが、デスクトップ型の指数は17.9%増。第一生命経済研究所の熊野英夫主席エコノミストは「海外で部品を調達したり製造したりするため、円安の影響が鮮明に出ている」と解説する。

 物価は上がるが、消費拡大は鈍い。はっきり言えば「悪いインフレ」の様相を見せているのが現状だ。
(引用ここまで)


本来は景気が好転し、賃金が上がり消費が増えることで物価が上がる「良いインフレ」を目指さなければいけないのが、現状は賃金がほとんど上がらない一方で、円安により輸入品の価格が上がり、富が海外に流出する一方で、私たちの暮らしは悪化しています。
いま起きている物価上昇は典型的な「悪いインフレ」で日本経済を好循環に導くものではありません。

これからさらに怖いのが4月から消費税引き上げ分3%が家計負担にのしかかってきます。ガソリン代や電気代、食品価格もさらに上がることが予想されます。
今は消費増税を前にした駆け込み需要が発生していますが、4月以降反動で需要が大きく落ち込むのが心配です。








■今週の注目Blog&記事■




グローバル化、IT化◆

●安倍首相を望んだことを悔やむ米国政府
2014年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40005


●「弱者」の戦い方で中国に立ち向かうフィリピン
JB PRESS
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40000


●女前起業家、フィリピンでの愛と野望に燃える
東洋経済ONLINE
http://toyokeizai.net/articles/-/30906

プレイステーション4、国内も手応え「アリ」です
日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140219/259968/?n_cid=nbpnbo_bv_ru




◆日本はどこに行くのか?◆



アベノミクスはアベマジックだったのか?
「街の景気指標」は
昨年末から悲鳴を上げている
DAIAMON ONLINE
http://diamond.jp/articles/-/48997


●この6ヵ月間で最悪の流出量、
福島第一原発で再び高濃度汚染水が流出
ニューヨークタイムズ
http://kobajun.chips.jp/?p=16759


安倍総理のトルコ通いとサウジ皇太子とのツーショットと
集団自衛権行使拘泥のウラ事情を読む
ベンチャー革命
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/33293378.html