日本を再び輝ける国にするために!〜なんで日本は世界に注目される国から夢のない国に転落したか? アメリカと小泉改革が果たした役割2

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先週、公共事業は国の発展段階によって経済成長にものすごく貢献することもある一方で、ほとんど経済効果をうまないこともあるということ、そして80年代以降日本はコンクリートから人への投資をするべき段階に至ったにも関わらず、アメリカからの圧力でさらに公共投資を増やす事になったことを書きました。


そしていよいよアメリカの本格的日本改造計画がはじまった事を書きましたが、今週はそれが具体的にどのようなものだったのか、書いていきたいと思います。



1970年代から巨額な対日貿易赤字に苦しんできたアメリカは、GATTの関税交渉、繊維、自動車、半導体、牛肉、オレンジなどの分野をターゲットとした二国間通商交渉や円高圧力をかけても対日貿易赤字を解消できず、結局、欧米とは異質な日本独特な価値観や思考・行動様式そのものに問題がある「日本異質論」がいわれるようになりました。


1985年、アメリカは対外純債務国に転落する一方、日本は世界最大の債権国になりました。

そこでアメリカがとった手が、先週ご紹介したプラザ合意による円高誘導であり、同時に「新通商政策アクション・プラン」を発表しました。このアクションプランの中では、「外国の不公正な貿易慣行をやめさせ、公正な貿易を実現するために二国間交渉を強化していくと同時に、輸出を促進するためにアメリカ企業の国際競争力を強化していく」としています。

そしてこの政策の一環で悪名高い一方的報復条項「スーパー301条」が生まれました。これはアメリカが不公正だと決めつけた相手に一方的に報復を与えるというものでしたが、「不公正」の定義は条文には記載されていず、アメリカに不利益なものは不公正と決めつけられるものでした。

明らかにこれは対米貿易で大幅な黒字を上げている日本をターゲットにするものでした。

アメリカは、レーガン大統領の大幅な減税と膨大な国防予算という政策によって生じた巨額な財政赤字を日本などのせいにして、円の切り上げとともに、日独両国に対して金利の引き下げを迫りました。

これに対し、西ドイツ連銀の総裁は徹底的に抵抗して結局金利の引き下げをしなかったのに対し、日本は、アメリカの言いなりになり、それだけではなく、西ドイツはアメリカの要請を断り西側の結束を乱してけしからんと非難してアメリカのご機嫌伺いに徹しました。


もともとレーガン大統領の政治信条は経済活動に対する自由放任主義だったのが、当時の日本経済の勢いに、アメリカは日本に負けるとの気持ちが出てきて政策転換したと思われます。


その頃のアメリカ人の雰囲気を表すものとして有名なのが1989年8月にビジネスウィークが発表した世論調査です。
それは、1989年の時点で、ソビエトの軍事力を脅威と感じるアメリカ人が22%いるのに対して、日本の経済力を脅威と感じるアメリカ人は68%と、その時点ではアメリカ人は真剣に日本に恐怖心をいだいていたことがわかります。





ここで、そのあたりのアメリカの意思がどの様なものだったのか、先週ご紹介した関岡英之氏の「拒否できない日本」から引用してご紹介致します。


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1987年にアメリカの対日貿易戦略基礎理論編集委員会によってまと
められた『菊と刀〜貿易戦争編』というレポートがある。執筆者名
や詳しい内容は公表されていないが、アメリカ・サイドから一部が
リークされ、その日本語訳が出版されている(『公式日本人論』弘
文堂)。

 この調査研究の目的は、日本に外圧を加えることを理論的に正当
化することだった。そして結論として、外圧によって日本の思考・
行動様式そのものを変形あるいは破壊することが日米双方のためで
あり、日本がアメリカと同じルールを覚えるまでそれを続けるほか
なない、と断定している

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いかがですか?
日本人としてショックを受けませんか?


このような考えから出てきたのが、「日米構造協議」でブッシュシニア大統領が提案し、宇野総理が受け入れました。

このなかでアメリカは、「系列」や「談合」などの日本独特の商習慣は外国企業を差別する「非関税障壁」で自由な競争を阻害していると非難して直ちに撤廃するように要求しました。

その他様々な内政干渉と言える要求を積み上げた中身は、そのリストを見た日本政府関係者の一人が「まさしくこれはアメリカの第二の占領政策だ。これが漏れれば大変な事になる」と言ったというエピソードが「日米の衝突 ドキュメント構造協議」というNHK取材班が書いた書籍に紹介されています。

また、日本経済新聞社の「通商交渉 国益をめぐるドラマ」のなかで通産省で交渉を担当した畠山襄氏が日米構造協議について「それは内政干渉」の制度化であった。 米国は日本の輸入拡大の障害になっている(と彼らが考える)制度について、意見がいえるが、日本は米国の輸入の障害については意見を言えないのだ」と証言しています。


そしてタイミングよく、1989年11月9日ベルリンの壁が崩壊しました。アメリカにとってのもう一つの脅威であった、東西冷戦が終結したのです。それまでは、アメリカにとって日本は大切な同盟国でした。東側諸国に対抗するための大切な国だったのですが、その脅威が消えたとき、それまでもその経済力を一番の脅威に感じていた日本を叩いても問題にならない環境ができたのです。


そこでアメリカは、全力を上げて日本つぶしにかかりました


日本人はナイーブにもアメリカを信頼している人が圧倒的に多く今でも、ワシントン・ポストが自国の首相を「愚か」と言ったら、普通の国であれば大騒ぎになり、アメリカ大使館の前にデモ隊が押しかけるようなことを、日本ではマスコミが、「ほらあのアメリカ様のワシントン・ポストが言っている。アメリカ様のご機嫌をそこねる鳩山はばかだ」のような論調になってしまう。

しかしアメリカは、当然自国の国益を最優先に考え、国益に反するときは全力を上げて日本を潰しに来るということを認識しなければ、いつまでたってもアメリカの属国の立場から抜け出せません。


そして、「日米構造協議」は1993年(平成5年)7月の宮澤喜一首相とビル・クリントン米大統領との会談で決まった年次改革要望書正式には「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」へとつながっていきます。

この年次改革要望書という日本語訳にもだましが隠されています。
この原文は

The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative

で要望書という文言はどこにも入っていません。
クセモノは「競争政策イニシアティブ」と訳されているところですが、ここでのイニシアティブは日本で一般的に考えられているイニシアティブではなく、「主導権」という意味だと考えられます。すなわちアメリカは、日本の競争政策の改革に主導権を発揮しますとアメリカ国内向けに発信しているのです。

これはすなわち「拒否できない日本」からの引用部分「外圧によって日本の思考・行動様式そのものを変形あるいは破壊する」ということそのものです。


そしてこの要望書を積極的に受け入れて、日本を改革(破壊)したのが小泉元首相でした

この年次改革要望書アメリカ大使館のホームページに和訳されて掲載されているので、ご自分で確認されたら、ここで私が話している内容が事実であることがわかると思います。



http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.html
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-2505.html
http://bit.ly/9zAMrc
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j055.html


ただかなり膨大なボリュームで、わかりにくい言葉で書かれているので、この要望書の結果どのような変化が起こったのかを、ウィキペディアからの引用でお伝えします。


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米国側からの要望が施策として実現した例としては、建築基準法
改正や法科大学院の設置の実現、独占禁止法の強化と運用の厳密化、
労働者派遣法改正、郵政民営化といったものが挙げられる。

郵政民営化郵便貯金や簡易保険などの国民の財産を外資に売り渡
す行為であるとし、また三角合併解禁については時価総額が大きい
外資が日本大手企業を買収して傘下に置き易くすることを容易化す
る行為として、外資への売国的行為とする意見がある。
年次改革要望書で言及されている医療改革は、外資系保険を利する
ことが目的となる一方で医療報酬減額や患者の医療費負担増大が医
療崩壊に繋がっていると指摘する意見がある。
1999年の労働者派遣法改正により日雇い派遣が原則解禁となったが、
労働環境の不安定化という社会問題を生み出している。
ウィキペディアより引用)
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どうですか?
今日本で問題となっている「医療崩壊」や「非正規雇用者の増大」「格差社会」「貧困の増大」は、みなアメリカからの要望によって導かれているのです


郵政民営化ももう少しウィキペディアから引用してみます。

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郵政民営化に対しては米国からの強い要求が存在した。 2004年10月
14日に公表された「日米規制改革および競争政策イニシアティブに
基づく日本国政府への米国政府要望書」(略称:年次改革要望書
には日本郵政公社の民営化の要求が明文で記載されている。

米国の保険業界にとって、120兆円を超える「かんぽ」資金は非常に
魅力的な市場であり、米国政府は要望書で自国保険業界の意向に沿
う形で「簡保郵便事業から切り離して完全民営化し、全株を市場
に売却せよ」と日本に要求している。

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要するに、郵政を民営化させ、その後アメリカの金融機関が投資して傘下に入れることで郵便貯金簡保に貯まっている350兆円もの資金をアメリカの自由にしようという意図が隠されていたのです。

えっ? そんなこと信じられない?


実はそれを想起させる事例がすでにあります。

それは1998年に経営破綻した旧日本長期信用銀行のケースです。
破綻した長銀には8兆円に及ぶ公的資金(税金)が投入された後、わずか10億円でリップルウッドに売却されました。
その後、長銀から衣替えした新生銀行が2004年2月19日に上場したことでリップルウッドは2200億円以上の利益を得ましたが、投資組合の本拠地が海外にあるため、日本政府はその売却益に課税することすらできませんでした。

グローバル化した金融市場では、様々なノウハウや経験があるアメリカ企業に対して、日本は圧倒的に劣っており手玉にとられています。

郵政が民営化されたら、気がついたらアメリカ企業の傘下に入っていたという日がすぐに来たかも知れません。

このような流れを見ると、今の民主党政権鳩山首相郵政民営化見直し、「対等な日米関係」の構築という考えに反対する日本人はいないはずです。


ではなぜ日本人はそのあたりを理解していないのか。
それはひとえに日本のマスコミの偏った報道姿勢にあります。

これについてもウィキペディアの「年次要望計画書」の項目からひろってみます。

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報道で年次改革要望書がほとんど扱われていないことについて

関岡英之城内実などから は、以下の点から、年次改革要望書
関する報道が広く国民に充分になされていないのが事実だという意
見がある。

建築基準法の改正提言には、アメリカ政府の介在がひとことも書か
れておらず、法改正の新聞報道でもいっさい触れられていない
([1]、50頁)。

年次改革要望書の全文が日本のマスメディアで公表されたことは
ない([1]、54頁) 。

郵政民営化をはじめとする構造改革の真相を国民が知ることと
なったら暴動が起きかねないので、マスコミ対策は用意周到になさ
れていた。郵政民営化に反対する政治評論家森田実が、ある時点
からテレビ局に出演できなくなった[11]。

しんぶん赤旗』・一部夕刊紙以外の主要マスコミでは『年次改革
要望書』が発表された事実そのものの報道もなされない。国会議員
が国会で問題にしても、なぜか全国紙やテレビ局の政治部記者から
は一件の取材もない

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そしてこれらとともにアメリカから日本に押し付けられ、日本のバブル崩壊以降の日本企業や日本の金融機関を痛めつけ、不況をさらに厳しいものに、長引くものにさせたのが時価会計」「BIS規制」です。これらを押し付けられることにより、日本企業はバランスシート不況に陥り、バランスシートがきれいになるまで前向きの投資ができない状況に追い込まれたのです。

ところが、日本に時価会計を日本に押し付けて苦しめてきたアメリカですが、リーマンショックアメリカ自身が苦境に陥ると、さっさと時価会計を取りやめました。


このあたりの内容を「騙しの道具(時価会計・BIS規制)が邪魔になってきた国際金融資本家」というサイトから引用してご紹介いたします。


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サブプライム問題で時価会計が邪魔になりだした自己中アメリカ。
国際金融資本家達は、時価会計・BIS規制を使って、日本をどう
乗っ取ってきたのか?
再度、簡単に整理してみる。


時価会計への移行させることにより、損失を明るみに出す。
バブル期に多くの不動産や株等の資産を所有した日本企業は、バブ
ル崩壊に直面する。それまでの原価会計では、これらの資産は下が
ったとしても売らない限りは損失は表に出ない。
そこに国際金融資本が突きつけたのが、時価会計。資産等を、期末
毎の時価で再評価するため、時価バブル崩壊で大幅にダウン)と
原価の差額を評価損益として計上することになる。


●BIS規制による自己資本比率の確保に苦しめ、資産を売却させ
る。
原価会計であれば損失が表に出ないで、充分な資産が確保され、自
己資本比率8%を確保することが出来るが、時価会計に移行したこ
とにより、損失は早く処理し資本率を増やさざるを得ない。


●投げ売った資産は、外資が買い取り転がし利益を得る。
仕方なく投げ売った安くなった資産は、「待ってました」と外資
安く買い取る。外資はそれを転売し利益を得る。
参照:「不動産投資市場の背景」リンク


●体力が極端に落ちた金融機関等を潰し、乗っ取る。
資産が目減りして極端に体力が落ちた金融機関等は潰れていく。国
際金融資本は、潰れた金融機関等を、いかにも正義の味方のような
顔をして、多くの税金を投入させた後、安く買い取った。残った日
本の都市銀行は吸収合併へ。


国際金融資本家にとって、バブル崩壊後の日本の金融機関を潰し乗
っ取るには、時価会計・BIS規制は、絶好の騙しの道具であった。
しかし、サブプライム問題の損失により、国際金融資本にとって、
この時価会計が邪魔なものとなってきた。過去にBIS規制は、8%を
5%に変更したが、今度は「アメリカは時価会計をやめる」と言い
出す。

もともと、時価会計・BIS規制も騙し道具でしかなかった。言いなり
のマスコミ報道ばかり信じていれば、彼らにいくらでも騙される。
事実を知る場が必要とされている。
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さあ、2週にわたって日本がぼろぼろになるまでに果たしたアメリカと自民党政権(特に小泉政権)がどのような役割を果たしたかお伝えしてきました。

日本も外交力をつけ、アメリカの属国の地位から早く抜け出さなければという気持ちになったのではないでしょうか?


来週は、これ以外の環境変化の影響も考えてみたいと思います。

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